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研究報告要旨
更新日:2010/08/03
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「ヴェーバー法理論・比較法文化研究会」初回研究会のご案内

 

 アジア研究教育拠点事業「法の継受と創造-東アジア共通法の基盤形成に向けてー」プロジェクト(2007-2011)の一環として組織されました標記の研究会(責任者・一橋大学法学研究科水林彪)の初回を、次の要領で開催いたします。一般に公開されるシンポジウムです。ご関心のある方、ふるってご参加下さい。

 
 日時:2010919日(日)

 場所:一橋大学佐野書院

(アクセスについては、下記サイトを参照して下さい。
 http://www.econ.hit-u.ac.jp/~coe-res/paper_doc/sano.pdf

 
研究会プログラム
 
9:30       開会挨拶
 
1000~1100 第1報告  

折原浩「『経済と社会』(旧稿)全体の構成と「法社会学」章の位置」

 1100~1300 討論

 1300~1430 昼食休憩

 1430~1530 第2報告

寺田浩明「中国法制史研究と比較歴史社会学の諸カテゴリー ──折原浩『マックス・ヴェーバーとアジア─??比較歴史社会学序説』(平凡社、2010年)を読んで」

   15 :30~ 17:30  討論

   



報告者からのメッセージ

折原浩氏

  コオーディネーターから提唱され、お受けしたテーマは「『経済と社会』(旧稿) 全体の構成と「法社会学」章の位置」です。このテーマにつきましては、そもそも『経済と社会』という書物が、「旧稿」草稿が書き始められて今年でちょうど一世紀にもなるのに、未定稿誤編纂の影響で、いまだに「全体として、正確には読まれていない古典」というほかはありません。そのため、『経済と社会』テクスト草稿の生成史、()編纂史、編纂論争史、全集版編纂本の現状と問題点、とたどってきませんと、基礎概念にもとづく「全体の構成」を論ずることも、そのなかに「法社会学」章を位置づけることもできません。 

 そこで、学問上厳密には、報告当日までに、生成史、編纂史、編纂論争史、全集版の現状と問題点につき、あらかじめ管見をお伝えしておかなければ ならないのですが、そのうち、編纂論争史までは、20063月の「京都シンポジウム」に、編纂者のひとり、ヴォルフガング・シュルフター教授を迎えて論争するにあたり、下記ホームページに該当稿を、15回に分けて連載いたしました。その後、シュルフター教授との論争を経ての小生の所見は、"Max Weber's 'Four-Stage Rationalization-Scale of Social Action andOrder' in the 'Categories' and its Significance to the 'Old Manuscript'of his 'Economy and Society': A Positive Critique of Wolfgang Schluchter"と題して、Max Weber Studies, vol. 8. 2/July 2008, pp. 141-162に発表され、シュルフター教授側の総括は、MWGesamtausgabe, Ⅰ /24 Wirtschaft und Gesellschaft, Entstehungsgeschichte und Dokumente, 2009, Mohr Siebeck: Tuebingen として刊行さています。

 しかし、シンポジウム参加者各位に、これらをすべて通読していただくことはご負担をおかけ過ぎますので、今回向けの簡略版を、改めて執筆し、下記ホームページに連載いたします。当日、与えられたテーマの報告にただちに入れますよう、簡略版をあらかじめご一読おきいただければ幸いです。


Hiroshi Orihara

URL: http://hwm5.gyao.ne.jp/hkorihara



寺田浩明氏

 歴史事象の解明と一般的理論枠組み形成との相互刺激を提唱する折原氏の比較歴史社会学序説は、伝統中国法の世界史的位置付けを試みる私のような門外漢をも強く励ます。ただウェーバーの中国史像は、1910年代の中国史学の水準を反映して、事実認識レベルで相当に問題含みである。その歴史認識を元にして理論を弄っても殆ど益はない。そこで折原新著の書評という形で3ステップの作業を試みたい。

(ア)折原氏によって紹介されたウェーバーの中国理解の問題点を指摘し、それに換える伝統中国法・伝統中国社会像を提示する。(イ)その実像を再度、折原氏が紹介するウェーバーのカテゴリーで位置付ける。(ウ)その最も理想的な状態においてなお理論的分化が不足している部分を指摘し、それを補う道を共に考える。

 報告者の伝統中国法像については、取り敢えず拙稿「中国清代民事訴訟と「法の構築」──『淡新档案』の一事例を素材にして」(日本法社会学会編『法の構築』(『法社会学』第58号)有斐閣、56?78頁、20033月)を参照して頂きたい。更に興味が有る方は拙稿「明清法秩序における「約」の性格」(溝口雄三他編『社会と国家』(シリーズ・アジアから考える第四巻)東大出版会、69?130頁、19943月)をもお読み頂けると幸いである。いずれも「寺田浩明の中国法制史研究ホームページ」(http://www.terada.law.kyoto-u.ac.jp/)の「著作目録」ページからPDFファイルがダウンロード可能である。