一橋大学大学院法学研究科法学部

履修者のコメント

履修者のコメント(1人400字)

EUワークショップに関するコメント

 2009年、欧州債務危機が起こりました。欧州債務危機は連日新聞やニュースで取り上げられ、当時の世界の大きな関心事でした。その時私は学部生であり経済学を学んでいたのですが、欧州債務危機は、こう言っては不謹慎かもしれませんが格好の研究材料であったのです。そして院生となった今、これまでの分析を論文という形へと昇華させようと思い、私はEUワークショップに参加することに決めました。個人的な意見として、EUワークショップの良い点は以下の2つです。ひとつには、EUはまだ歴史が浅く実験途中であり、研究材料が豊富である点。加えて、ワークショップには様々な研究科の人々が集まっているので、自分のものとは性格が異なった興味深い話を聞くことができる点です。これらの観点から、EUワークショップは良いアイディアが生まれやすい空間だと考えています。

経済学研究科 高岡徹
研究対象:欧州債務危機、EUの財政政策


 私は学部時代から国際経済学を専攻していて大学院でも継続して研究しています。しかし研究領域でASEAN(東南アジア諸国連合)やアジア新興国への注目に偏りがちになり、より幅広い視野で国際経済を分析していくために、欧州EUに関しても興味を持ってEUプログラムに参加しました。私の本専攻である経済学だけでなく、必修科目を中心に社会科学全般を満遍なく学ぶことができます。EU経済の背景にあるEUの政治システムや法体系、社会情勢など抑えておくべき知識や教養を身につけられる、英語でのプレゼンテーションやディベートなど多くのスキルを養えるといったことも、参加の動機になっています。特に必修科目であるEUワークショップでも各研究科の優秀な教授陣が、優しくかつ鋭い指摘や研究計画のフィードバックをして下さるので非常に役立ちます。また少数精鋭なので他研究科の人たちとの交流ができるのもEUプログラムの魅力です。

経済学研究科 今西雄也
研究対象:EU諸国における国際貿易体制と、国際的な経済連携戦略の進展について


 冷戦後、東アジアにおける経済のグローバル化により、国家間の相互依存関係が深めてきた。しかし、WTOが行き詰めになったため、現在地域統合が盛んになっている。東アジアにおいても、近年、共同体の議論も出てきているが、文化、習慣、政治体制、歴史問題などの問題が未解決のため、なかなかうまく進められない。
 そういう現状に対して、最も進んでいる地域統合であるEUの統合プロセスから学ぶ必要があると思う。
 ちょうどEU共同研究プログラムはそういう場を設けて頂いた。本プログラムでは、商学、経済学、社会学、法学の4つの研究科からの先生がいらっしゃい、専門的な意見が沢山頂ける。
 更に、4つの研究科の授業を履修することができ、研究に大変役に立っている。歴史から、現代社会まで、経済から、法律・規範まで詳しく勉強できる。以上の理由を持ち、EU共同研究プログラムに参加させていただいた。

法学研究科 王健
研究対象:アジア地域統合と欧州統合との比較研究


 私がEUワークショップを受講した理由は、研究テーマがEUに関することであったことと、4研究科との合同ワークショップであるためです。私は主に政治の観点から研究していますが、社会学や経済学、商学などの普段関わりの少ない研究分野の先生からもコメントがもらえるというのはなかなかない機会だと思いました。また、学生側もEUという繋がりだけで、政治・法・経済・商学・社会学と多岐にわたる分野から集まるので、彼らの発表を聞くことでEUに関する見識が深まり、間接的に自分の研究分野に対する視野も広がるように感じます。大学院ではある程度自分がどの領域に身を置くか決まっていて、それと関連の強い授業や話ばかりし、どこか考えが偏ってしまっているという認識があったので、私は多方面に包括的に学問に触れるこの授業がとても有意義だと思います。

匿名希望
研究対象:EUの共通移民政策について


 私が本プログラムに登録した目的は、自身のヨーロッパ近世史への関心を「EU研究」という枠組みから展開し、今後の長期的な研究に不可欠となるアクチュアルな現在の射程へと問題観を拡張するためである。修士論文における「近世オーストリア領邦諸身分」、「ウィーン都市史」、「宮廷」というキーワードから生起する独自の視点を、現代EU研究の一考察へと総合・昇華させたい。
 今日オーストリアでは、ハイダー事件を代表例としてEU全体に表出した歴史問題、すなわち「負の遺産」としての自国ナチズムとの対峙問題が自国史上の重要争点となっている。しかしながら、20世紀以前のオーストリアとハプスブルク家との連接は、この自国史問い直しの潮流の中でも揺らぐことはなく、国民意識の不可侵的な核となっている。この自国史としてのハプスブルク史観がどのように形成され、またどのようなイメージ・表象をもって扱われることが公的に望まれているかという点を、主に観光事業発信と国定教科書から分析したいと考えている。

社会学研究科 横越建城
研究対象:現代オーストリアにおける自国史としてのハプスブルク史観


 社会学研究科に所属する修士1年です。秋山ゼミ・阪西ゼミでヨーロッパの中世史・近世史を学んでいます。
 修士課程での研究テーマは16世紀のスペイン史で、特に国王の巡幸に着目しています。
 EUリサーチワークショップでは、欧州統合の進展に伴ってヨーロッパ史の語り方がいかに変化したか、をテーマとし、オーストリア・ハプスブルク家の末裔にして欧州統合の推進者であったオットー・フォン・ハプスブルクを具体的な題材として採り上げる、という方向で構想しています。
 EUリサーチワークショップは、研究科の異なる4人もの先生から直接に指導をいただけますし、また他研究科の院生と知り合ってその研究を知る貴重な機会になっています。
 現代のEUに結びつくテーマを研究するということで、自分の研究テーマは修士課程のそれとはかなり異なるものになりましたが、さまざまな刺激を受けながら、楽しく進めています。

社会学研究科 加藤幹隆
研究対象:欧州統合の進展と歴史言説の変遷


 私は国際政治学と政治哲学を使い、シェンゲン・アキ下における人の移動からイスラームとヨーロッパの関係を研究しています。
 現在EU加盟国の多くはシェンゲン体制下にあり、域内の国境管理は廃止されました。このような移動の自由を促進する政策は、一面イマニュエル・カントが『永遠平和のために』の中に示した歓待の制度化と解釈できます。しかし、この移動の自由は非ヨーロッパ人に開かれたものとは言い難く、とりわけ、2011年のいわゆるアラブの春と呼ばれる北アフリカで起きた民主化運動にともなう人の移動に対して、シェンゲンは壁となりました。また、イタリアの一時的な難民受け入れにより生じた人の移動をフランスが拒絶したことはシェンゲン体制自体の根本を揺らがす出来事であった解せます。
 この問題はディシプリンを超えた問題も内包しており、EUプログラムで法学、歴史学、経済学などの観点から指導していただけることは、研究を進める上で非常に役立っています。

社会学研究科 南波慧
研究対象:イスラーム、レイシズム、歓待